2022.11.27
肛門嚢アポクリン腺癌の摘出術と腰下リンパ節郭清を行った1例
犬の肛門嚢アポクリン腺癌は老齢の雌犬に多く発生し、領域リンパ節転移が高率にみられる疾患です。
外科手術後の局所再発率は25%、生存期間中央値は約8ヶ月と報告されています。
近年では積極的な外科療法や化学療法の併用治療により生存期間の延長が報告されています。
症例はミニチュアダックスフンド、11歳齢の雌犬です(2022年11月現在)。
右側肛門嚢に2.5cmの腫瘤性病変を認め、CT検査細胞診検査を行い肛門嚢アポクリン腺癌の腰下リンパ節転移と診断しました。
肛門嚢アポクリン腺癌の摘出に加えて、開腹下にて腫瘍が転移した腰下リンパ節の郭清を行いました。リンパ節は非常に大きく腫大し難易度の高い手術でしたが合併症を認めることもなく良好な経過をたどりました。
術後は分子標的薬(パラディア)を内服し、現在術後1年以上が経ちますがCT検査でも再発が認められず良好なQOLを維持しています。
肛門の右下側に2.5cm径の肛門嚢アポクリン腺癌を認めます。
肛門嚢アポクリン腺癌の肛門嚢開口部を結紮離断するとことです。
皮下には非常に大きな腫瘍が認められます。
腫瘍の転移により非常に腫大した腰下リンパ節のCT画像です。
大血管を遮断したり血管ループで避けながらヘモクリップでリンパ節へ流入する血管を遮断しリンパ節を郭清しているところです。
手術後の外貌です。
大きな手術後ですが非常にきれいに仕上がっています。