消化器型のリンパ腫は、犬の胃腸管に発生する腫瘍の中で最も多い腫瘍です。犬では中齢から高齢においてよく認められますが、ときに若齢でも診断される場合があります。発生部位は小腸、胃、結腸の順に多いとされています。胃腸管の局所、あるいは全体的に認められ、腸間膜リンパ節や肝臓への転移が多いです。
元気食欲の低下や、下痢、嘔吐などの消化器症状がみられます。これらの症状は時間経過とともに重篤化することが多いです。 また、下痢や嘔吐を伴わない低アルブミン血症が認められることがあります。 |
診断には、病変部の細胞を採取すること(生検)が必須となります。生検方法としては針吸引生検や内視鏡生検、開腹手術下での生検があります。生検方法の選択は全身状態や超音波検査、血液検査の結果などを考慮して判断されます。 超音波検査において胃や十二指腸、回腸、結腸に異常が認められた場合は、内視鏡生検が選択されます。また、超音波検査でほとんど異常が認められない場合でも、内視鏡下で生検を行うことで消化器型リンパ腫が診断されることがあります。 |
複数の抗がん剤を併用する多剤併用化学療法が推奨されています。また、消化管穿孔を起こしている、もしくは今後起こす可能性が高い場合には外科的切除も行われることがあります。 |
犬や猫、特に若い犬は、遊んでいるうちに食べてはいけないものを食べてしまうことがあります。誤食してしまうものとしては、ボールや靴下などの柔らかいものや、硬貨や骨などの硬いものなど様々なものがあります。骨など時間をかけて消化されるものもありますが、最悪の場合胃に穴をあけてしまったり、胃を通過しても腸管で詰まってしまう可能性があります。
胃内異物が胃の粘膜を刺激したり、食べ物が胃から腸に流れるのを邪魔することで、嘔吐が何度も引き起こされます。お腹を触られるのを嫌がったり、お腹を丸めるような姿勢をとる場合は、胃に穴が開いてしまっていることが疑われます。 |
レントゲン検査や超音波検査、CT検査などの画像検査を行うことで、異物を見つけます。 |
異物を飲み込んですぐの場合は、投薬により吐かせる処置を行います。ただし、針や竹串など先が尖ったものを飲み込んでいる場合は、吐かせる処置により食道を傷つけてしまう可能性があります。そのような場合や、嘔吐しても出てこなかった場合は、内視鏡による異物の摘出を行います。内視鏡でも摘出出来なかった場合や、異物が腸まで流れてしまっていた場合は手術適応となります。 |
血液の中にある白血球の一つであるリンパ球が癌化したもので、その発生はとても多く猫では悪性腫瘍の30%がリンパ腫であると言われています。リンパ腫の猫の約70%が猫白血病ウイルス(FeLV)陽性でウイルスとの関与があるとされています。
発生する部位によって、多中心型リンパ腫(リンパ節、脾臓、肝臓)、皮膚型リンパ腫、消化器型リンパ腫(胃、腸管)、胸腺縦隔型リンパ腫(胸腺、縦隔リンパ節)などに分類されます。
猫では若齢(約2歳)で発生する場合と老齢(約10~12歳)で発生する場合があり、若齢の場合FeLVは陽性であるのに対し、老齢では陰性であることが多いです。消化器型の場合は老齢の猫で発生することが多いようです。
消化器型の場合、嘔吐や下痢、食欲不振や体重の減少などが主にみられます。腫瘍によって腸が閉塞してしまった場合、嘔吐が激しく認められたり、消化管穿孔を起こすと腹膜炎を起こすこともあります。 |
病変部の細胞を採取して病理診断することによって診断ができます。腫瘍に針を刺して細胞を採取したり、腫瘍が触知できない場所にあったり、小さく触知できない場合は内視鏡検査を行い組織生検を行います。最近は、遺伝子検査を行い多面的に診断をすすめることもあります。 |
化学療法(抗がん剤)が有効です。腸閉塞を起こしたり、消化管穿孔を起こしている場合は切除後に化学療法を開始します。 |