鼻腔内腫瘍
鼻腔内腫瘍は、鼻の中の組織から発生し、ほとんどが悪性で、進行性の経過をたどります。犬では、鼻腔腺癌の発生が最も多く、その他、移行上皮癌、扁平上皮癌、軟骨肉腫、線維肉腫などの発生が認められます。一方、猫ではリンパ腫の発生が最も多く、その次に鼻腔腺癌の発生が多いです。症状として鼻汁やくしゃみ、鼻出血などが認められます。高齢でシェルティーなどの長頭種に発生しやすいとされています。
腫瘍の性質として、一般的に局所浸潤性が強く、遠隔転移率は低いです。そのため、死因は局所の悪化に起因することが多いため、局所治療が重要となります。
当院ではCT検査、超音波乳化吸引装置を駆使し、腫瘍の局所制御を行うことで、QOLの維持と生存期間の延長を目的とした治療を行っています。
下の写真は、ラブラドール・レトリバー(7歳5ヶ月齢)に発生した鼻腔腺癌の症例で、当院で治療し、5年以上生存した症例です。
主な症状
鼻汁、くしゃみ、鼻出血、鼻出血、いびき、鼻づまり(呼吸がしづらい)などの症状がみられます。
進行症例では、顔の形が変わったり、発作を起こす場合もあります。
こんな事はありませんか?
- 鼻水、鼻血、くしゃみがでる
- 鼻づまり、いびき、呼吸がしづらそう
- 比較的高齢
- 長頭種である
診断
臨床症状から、鼻腔腫瘍を疑った場合は、まずレントゲンを撮影して鼻腔腫瘍の可能性を判断します。
さらに精密な検査としては、CT検査を実施します。鼻腔内に腫瘍を疑う病変があれば組織を採材し、病理組織学的検査を行います。
また、CT検査により、腫瘍がどこまで進行しているかを確認することができます。
症例
写真は、ラブラドール・レトリバー(7歳5ヶ月齢)に発生した鼻腔腺癌の症例で、当院で治療し、5年以上生存した症例です。超音波乳化吸引装置を用いた治療を行っている写真です。
CT検査で、腫瘍の位置を確認した後に、腫瘍を吸引する範囲をマーキングし、鼻腔内から腫瘍を吸引しているところです。

初診時のCT検査です。赤い丸に囲まれたところが腫瘍の部分です。

治療から2年後の手術(鼻腔内腫瘍吸引術)前のCT検査です。腫瘍はかなり縮小していました。
