特殊外科
門脈シャント
門脈という肝臓に入る血管が新たに血管(シャント血管)を作り他の血管に走行してしまう病気です。本来は肝臓で解毒されなければならないアンモニアなどがシャント血管を通って全身に回ってしまうことにより、痙攣発作などの症状がみられます。
先天性の場合と後天性の場合があります。先天性は若齢(1〜2歳)のシェットランドシープドック、ミニチュアシュナウザー、ヨークシャテリア、シーズー、ラブラドールレトリーバーなどに多く発症します。発育が悪く体が小さいことが特徴です。後天性は肝機能の低下によって起こり、老齢犬に多く発生します。
症状はまったくないものから、ぐったりしたり吐き気がでるなどの症状を起こすもの、痙攣や発作がみられるものまで様々です。これらの多くは食後に顕著に現れます。また高アンモニア血症により尿石症がみられることもあります。
現在は血液検査やCT検査で診断が可能です。
治療は可能であれば手術でシャント血管を結紮します。当院では術前のCT検査でシャント血管の位置とパターンを確認し、手術時には手術台にデジタルレントゲンを設置し、手術中に造影剤を流しシャント血管を再確認して、より確実な手術を行っています。
主な症状
軽度の場合、症状はほとんどありません。
症状が出る場合、食後に元気がない、吐く、フラフラするなどの症状がみられます。重度になるとアンモニアの影響で痙攣やよだれを垂らすなどの症状がでます。食後に顕著に現れます。
また高アンモニア血症により尿石症がみられることもあります。
こんな事はありませんか?
- 若齢のシェットランドシープドック、ミニチュアシュナウザー、ヨークシャテリア、シーズー、ラブラドールレトリーバーなどの好発犬種である(先天性)
- 発育が悪い(先天性)
- 食後にぐったりしたり、吐いたりする
- 食後に痙攣を起こす
- 尿石症がある
診断
血液検査、レントゲン検査、超音波検査、CT検査などを総合して診断します。
血液検査では、食事負荷試験を行いアンモニアや総胆汁酸を測定します。
症例
シャント血管を剥離している写真です。
