腫瘍
肥満細胞腫(猫)
猫の肥満細胞腫は発生部位によって、皮膚型、脾臓/内蔵型、腸管型に分類され、生物学的挙動はそれぞれで異なります。猫の皮膚型肥満細胞腫は皮膚腫瘍の約20%を占め、2番目に多い悪性腫瘍です。皮膚型肥満細胞腫は、細胞の形態によって肥満細胞型と組織球型に分類されます。犬の皮膚肥満細胞腫と比較して良性の挙動をとることが多いですが、皮膚に多発するものや核分裂指数が高いものは、悪性の傾向にあるため予後に注意する必要があります。内蔵型肥満細胞腫は犬に比べてよく認められ、特に脾臓に発生することが多いです。腸管型肥満細胞腫の発生は、他のタイプと比較してまれですが、猫の消化管に発生する腫瘍として、リンパ腫、腺癌に次いで多いです。予後は一般的に悪いとされています。
主な症状
皮膚型肥満細胞腫では、腫瘍細胞の脱顆粒に伴う、掻痒、紅斑、腫脹などがみられます。
その他のタイプの肥満細胞腫では、食欲不振や体重減少、嘔吐、下痢などがみられます。
こんな事はありませんか?
- 皮膚にしこりが出来た(境界明瞭、脱毛を伴う)
- 嘔吐や下痢をする
- 食欲不振
- 体重が減ってきた
診断
病変部の針生検を行い、細胞診検査をします。
肥満細胞腫が疑われる場合は、進行度の評価を行うために、リンパ節の評価、超音波検査(特に肝臓・脾臓)、X線検査の他、バフィーコートに肥満細胞がないかを確認します。
皮膚型肥満細胞腫と思われる場合も、多発している場合は内蔵型肥満細胞腫の転移の可能性があるので、全身の評価が必要です。