犬・猫フィラリア症
フィラリアとは蚊が媒介して犬の心臓に寄生する虫で、寄生により心臓に負担をかけるため、結果的に肝臓や腎臓、肺など様々な臓器を障害する病気です。進行はゆっくりなことが多いですが、時に急に進行(大静脈症候群)することがあり、その場合は緊急手術を行い心臓の中のフィラリアを取り除かなければなりません。大静脈症候群を引き起こした場合は死亡する可能性がかなり高くなります。
通常では犬に寄生しますが、稀に猫やフェレットに寄生することもあります。
主な症状
感染の初期や寄生している虫が少数の場合はほとんど症状がありません。進行すると咳が出る、息が荒くなる、運動を嫌がるなどの症状が出ます。重度になるとお腹が膨らんでくる、失神するなどの症状がでます。また大静脈症候群を引き起こした場合は突然倒れて、呼吸が荒くなり、赤い尿(血色素尿)が出るなどの症状がでます。
フィラリア症の病態は、成熟成虫の寄生数、感染期間、宿主の反応に依存し病態分類のⅠ〜Ⅲにされています。
猫では無症状のものから、咳、嘔吐、食欲がないなどの症状がみられるものまで様々です。
こんな事はありませんか?
- フィラリア予防をしていない
- 咳をする
- 息が荒い
- 運動を嫌がる
- お腹が膨らんできた
- 失神する
- 突然倒れてぐったりとしている
- 赤い尿が出た
診断
身体検査、血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを行い診断します。
血液検査で犬のフィラリア症の血清診断キットも用いることですぐにフィラリア寄生を確認することができます。
血清検査による診断は、雌成虫抗原をELIZA法または免疫クロマトグラフィー法などによって検出することで行われます。本法では、犬では約98%の特異度をもってフィラリア症を診断することが可能です。数%を占めるオカルト感染の診断にも有効です。
また超音波検査では心臓内に寄生したフィラリアを描出することが出来ることがあります。
心電図検査やX線検査、超音波検査はフィラリア症による心機能の低下などを評価する際に有効です。
症例
これはフィラリアに罹ってしまった患者さんの血液を800倍に拡大した顕微鏡写真です。
血液の中に青く染まったフィラリアの子虫が見えます。
この患者さんはフィラリア予防をしていませんでした。そのため、この検査後にフィラリアに対する薬を用いた治療を行いました。
