拡張型心筋症
心筋症とは心臓の筋肉(心筋)が働かなくなり、十分な血液が全身に行き渡らなくなる心臓の病気です。
拡張型心筋症は心筋症の一つで、心臓の壁が薄く伸びて心臓内部の空間が広がってしまうため、心臓が血液をうまく送り出すことができなくなる病気です。
遺伝性のことが多く、アメリカンコッカースパニエル、ダルメシアン、ドーベルマン、ボクサーなどの大型犬に見られます。また加齢に伴って発生する可能性が高くなります。時に突然死することもあります。
主な症状
ドーベルマンとボクサーでは、発咳、呼吸困難などの急性左心不全の症状のほか、失神、虚脱、突然死などの不整脈に起因する臨床症状も認められる。
突然死は20〜30%の症例で認められ、末期の心不全に陥った症例は75%が左心不全、25%が両心不全を呈します。
その他の大型犬においては、臨床症状の発現様式が少し異なります。失神や突然死がみられる例は少なく、胸水貯留や腹水貯留がみられる例が多いです。ニューファンドランドの症例は35%で腹水貯留が認められる。心房細動などが併発すると症状が重度になります。
こんな事はありませんか?
- 大型犬である
- 好発犬種である
- 時々倒れる
- 運動を嫌がる
- 呼吸が速く、しづらい
- 咳をする
- ふらついたり、ぼーっとしていることがある
診断
聴診は拡張型心筋症のスクリーニング検査として重要な検査である。拡張初期のギャロップは頻繁に認められる所見であり、重度の心室機能障害が起こっていることを強く示唆します。
軽度の逆流性雑音は50%の症例で聴取され、心室期外収縮、上室期外収縮、発作性心室頻拍、発作性上室頻拍、心房細動などの不整脈も聴診で検出可能です。
血液学的検査では心拍出量の低下に関連する腎臓機能障害などを評価します。トロポニンIやB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が診断や予後評価に役立つとの報告があります。
心電図検査は拡張型心筋症に伴う不整脈(心室期外収縮、上室期外収縮、発作性心室頻拍、発作性上室頻拍、心房細動など)の確定診断に有効です。
超音波検査は、拡張型心筋症の診断に最も重要です。
症例
当院では拡張型心筋症の患者さんにはACE阻害薬という心筋を保護する薬や、ベトメディンという強心剤などを組み合わせて長く良好に過ごしていけるように治療しています。