腫瘍

乳腺腫瘍(犬)

乳腺腫瘍(犬)

乳腺から発生した腫瘍のことです。犬では約50%が悪性で、さらに増大、増数傾向のある腫瘍はその約80%が悪性です。若齢で避妊手術を受けた場合は発生率が低く、未避妊の高齢犬ほど発生率が高いことから卵巣ホルモンの関与が考えられます。
大きさにより予後が異なるため、胸にしこりを発見したらまずは検査を受けることが大切です。

  • 乳腺部に硬いしこりがある
  • 避妊手術を受けていない、または2回目の発情以降に避妊手術をした
乳腺部に硬いしこりを1個~複数個見つけられることが多いです。痛みはほとんどありません。
触診、病変部を針生検して細胞診断で診断します。
さらにレントゲン検査や超音波検査で転移を疑う病変がないかを検査します。
外科的治療により根治する可能性がある腫瘍です。切除範囲は腫瘍の大きさや数、発生した場所などにより決定します。切除後の病理検査結果によっては抗癌剤や免疫療法などの内科的治療を行うこともあります。
若齢(2回目の発情以前)での避妊手術が乳腺癌発症の予防になります。

*犬では時に炎症性乳がんと呼ばれる悪性度の高い乳癌が発生することがあります。乳腺とその周囲の皮膚が熱感や痛みをもち、赤く腫れたりします。この場合、外科的切除は禁忌で抗癌剤の投与や対症療法などを行いますが非常に予後の悪い癌です。
乳腺部にできた腫瘍の写真です。
腫瘍の大きさにより予後が違うため、胸にしこりを発見したらまずは検査をすることが大切です。

乳腺腫瘍(猫)

乳腺腫瘍(猫)

猫では皮膚腫瘍の中で3番目に発生が多く、犬とは異なり、その約90%が悪性とされています。そのため小さなしこりでも注意が必要です。猫でも若齢での避妊手術により乳腺腫瘍の発生率を低くすることができると報告されています。

  • 乳腺部に硬いしこりがある
  • 乳腺部にあるしこりが赤く腫れたり、黄色い液体が滲み出てくる
乳房やその周囲に一つからいくつかの硬いしこりを触ることができます。また、腫瘍の一部が赤く腫れたり、黄色の液体がにじみ出ていることもあります。ときに表面がジュクジュクとして出血することもあります。
犬と同様に触診、針生検をおこないます。
またレントゲン検査や超音波検査を行い、転移がないかを検査します。
外科的切除を行って、腫瘍ができた左右どちらかの乳腺をすべて切除します。同時に卵巣子宮摘出術も行います、手術後の病理検査結果によっては、抗癌剤の投与を行います。

肥満細胞腫(犬)

肥満細胞腫(犬)

犬の皮膚腫瘍の中で7~12%を占め最も多い腫瘍です。どんな形にでも、どのような場所にでもできるもっとも警戒すべき皮膚の悪性腫瘍です。肥満細胞腫は腫れやすく、出血しやすく、痒みを伴うことも多いとされています。また悪性度の高いものは、肝臓や脾臓などに転移したり全身に広がることもあります。
この怖い肥満細胞腫も細胞診断によってほぼ診断できるので、皮膚にしこりを発見したらまず来院して細胞診断を受けてください。
また肥満細胞腫の手術は、先に抗がん剤やステロイドなどで腫瘍を縮小させてから行うことで根治の確率をできるだけ上げるようにしています。最初の手術が根治の最大のチャンスと言われています。

  • 皮膚にしこりが出来ている
  • 腫瘍が赤い、痒がる
  • 嘔吐、下痢をする
様々な形態をとるため、見た目で判断は出来ませんが、典型的なものでは皮膚にできたしこりが赤くなったり、出血したり、痒がったりすることがあります。
皮膚以外に肥満細胞腫ができた場合、肥満細胞から出るヒスタミンによって消化管で炎症や出血が起こり、吐いたり下痢をしたり、食欲がなくなったりする事があります。重症の場合ショックを起こして亡くなってしまうこともあります。
 
病変部の針生検を行い、細胞診検査をします。
外科的に切除することで、根治する可能性がある腫瘍です。
腫瘍のグレードによっては術前に抗がん剤やステロイドを投与することがあります。
また術後は病理検査結果によっては抗癌剤や免疫療法などの内科的治療を行います。
皮膚に認めれらた肥満細胞腫の写真です。
 

肥満細胞腫(猫)

肥満細胞腫(猫)

猫の肥満細胞腫は皮膚腫瘍の2~15%を占め、2番目に多い悪性腫瘍です。皮膚以外にも脾臓や消化管などの内臓に発生することがあります。猫では犬に比べ進行が緩やかなことが多いです。孤立した腫瘍の場合は外科的切除を行い、その後経過観察をします。

  • 皮膚にしこりが出来た
  • 嘔吐や下痢をする
様々な形態をとるため見た目で判断は出来ませんが、典型的なものでは皮膚にしこりができます。
病変部の針生検を行い、細胞診検査をします。
外科的に切除することで、根治する可能性がある腫瘍です。術後の病理検査結果によっては抗癌剤や免疫療法などの内科的治療を行います。

口腔内腫瘍

口腔内腫瘍

歯肉や舌、口の粘膜などに出来る腫瘍です。犬の口腔内腫瘍は腫瘍の約4%を占めますが、その約90%は悪性腫瘍で、悪性メラノーマ(黒色腫)、扁平上皮癌、繊維肉腫の順に多いとされています。遺伝性、口腔内の不衛生なども原因の一つと考えられています。
口腔内に何かしこりを発見したり、出血が止まらないなどで発見されることが多いです。
多くの口腔内腫瘍の場合、来院時にすでに顎骨に浸潤していることが多いですが、顎骨を含めた切除術を行うことによって治療も可能です。

  • 口の中にしこりがある
  • 口臭が強く、よだれを垂らす
  • 口の中を気にする
  • 口の中から出血している
  • ご飯を食べにくい
口臭やよだれ、口からの出血が認められる事が多いです。
また偶発的に口の中を見たときにしこりに気づくこともあります。
腫瘍を針生検し細胞診断を行ったり、麻酔下で組織生検をし病理組織学的検査を行う事が診断する上で重要です。またCT検査を行い、手術の範囲を判断することができます。
第一に根治を目的とした外科的治療を行います。部位や病期の進行により手術が不適応になる場合もあります。手術後や手術が適応できなかった場合は抗癌剤や免疫療法を行います。
口腔内の歯肉部にできた腫瘍の写真です。
 

肛門周囲腺腫

肛門周囲腺腫

高齢の未去勢犬に多く見られる腫瘍で、雄犬では3番目に多く、肛門周囲にある肛門周囲腺という分泌腺に発生する腫瘍です。
この腫瘍はホルモン依存性の高い腫瘍で、多発することも多いとされています。
通常は腫瘍の切除と去勢手術を同時に実施します。

  • 去勢していない雄犬である
  • 肛門の周りにしこりがあり、気にしている
  • 排便がしづらく、何度も排便のポーズをとる
肛門付近で硬いしこりができます。それを気にして舐めて、血が出たり、ジュクジュクしたりしていることもあります。さらに腫瘍が大きくなると排便がしづらくなり、何度も排便のポーズをとるようになることもあります。
腫瘍を触診、針生検を行い診断します。
 
外科的に切除します。しかし、肛門付近のため拡大切除が難しく、増殖しやすい細胞なので再発することも多く、手術後も注意が必要です。同時に去勢手術も行うと腫瘍が新たに出現することを予防することが出来ます。
若いうちに去勢手術をしておくことが有効な予防法です。
写真は肛門周囲に多発してみられた肛門周囲腺腫の写真です。

精巣腫瘍

精巣腫瘍

精巣は男性ホルモンを分泌したり、精子を作ったりする雄の臓器です。
犬の精巣腫瘍は未去勢の犬であれば2番目に多く遭遇する腫瘍です。転移率は低いですが、腫瘍が産生した過剰なホルモンによって、雌性化、脱毛などが見られたり、最悪の場合骨髄抑制を起こして死に至ることもあります。
また陰こう(潜在精巣)といって、胎児期の精巣がお腹の中に残っている場合は、正常な犬と比べて9倍、腫瘍発生のリスクが高いとされており、発見も遅れやすいことから、予防的に早期に去勢することが望ましいとされています。

  • 去勢手術をしていない雄犬である
  • 胎児期の精巣がお腹の中に残っている
  • 精巣が腫れてきた
  • 毛が抜けたり、皮膚が黒ずんでいる
腫瘍細胞の増殖によって精巣が腫れ上がっていることがあります。痛みはほとんどありません。
腫瘍部位からのホルモン分泌で毛が抜けたり、皮膚が黒ずんだりする(色素沈着)ことがあります。また乳頭が大きくなったり(雌性化)、反対側の腫瘍が小さくなったりすることがあります。
病変部の針生検を行い、細胞診断を行います。お腹の中にある場合、超音波検査、CT検査などが有用な検査となります。
外科的治療により根治する可能性があるため、基本的には手術を行います。手術後は抗癌剤や免疫療法を行うこともあります。しかしホルモンの作用で免疫抑制や貧血が起こってしまっている場合は手術が出来ず死に至ることもあります。
巨大な精巣腫瘍(セルトリー細胞腫)の写真です。

脾臓腫瘍

脾臓腫瘍

脾臓の腫瘍は比較的多く、高齢の大型犬で多く見られますが、どの犬種でも認められる腫瘍です。脾臓にできたしこりのうち2/3が腫瘍で、1/3が非腫瘍性病変であるといわれ、腫瘍のさらに2/3は悪性度の高い腫瘍(血管肉腫)といわれています。
脾臓の腫瘍の場合、お腹が大きくなってきたことで来院されるか、元気な子が急に動けなくなったりして、検査を行うと貧血や腹水などと同時に発見される場合が多いとされています。また他の病気で来院され偶発的に見つかることもあります。
腹水(出血による血腹)がある場合は緊急手術を行うことが多いです。
 

  • 突然元気がなくなり、ぐったりしている
  • お腹がぽっこりしている
  • 急に貧血になった
腫瘍に特異的な症状はほとんどなく、お腹が膨らんできた、元気だったのに突然元気がなくなったなどの禀告で来院されることが多いです。腫瘍が破裂すると、お腹に血が大量に溜まったり、低血圧や貧血を起こすことによってぐったりすることがあります。
血液検査、レントゲン検査、超音波検査、CT検査などで総合的に診断します。これらの検査で異常が見つかった場合は手術により摘出し、病理診断することによって確定診断されます。
脾臓破裂を起こしいる場合は緊急手術になる場合があります。状況に応じて輸血を行いながらの手術になります。
脾臓摘出後の病理検査結果に応じて、抗癌剤療法や免疫療法を行います。
周囲の組織が癒着した脾臓腫瘍の写真です。
 

腎臓腫瘍

腎臓腫瘍

腎臓腫瘍は犬では腫瘍の1.7%、猫では2.5%とされています。持続的な血尿やお腹の中のしこり、腫れなどから発見されます。手術においても大血管に隣接しているため、難易度の高いものとなります。

  • 血尿が続く
  • 痩せてきた
  • お腹が張ってきた
血尿が見られることが多いです。その他にも元気の消失、体重の減少、腹囲膨満などが挙げられますが、腫瘍に特異的な症状ではありません。
尿検査、超音波検査、CT検査、生検などを総合して診断します。排泄性尿路造影を行い、正常側の腎臓の評価を行い、手術の適応か否かを判断したりもします。
外科的に摘出することで根治する可能性のある腫瘍です。この場合、手術前後の腎機能の管理がとても重要で、正常側の腎機能不全が起こっている場合は特に注意が必要です。手術が適応できなかった場合は抗癌剤や、免疫療法などの内科的治療を行います。
犬に最も多い腎細胞癌の写真です。
腫瘍から血管を慎重に剥離しているところです。
腎臓が大きな血管に隣接しているため難易度の高い手術です。

副腎腫瘍

副腎腫瘍

副腎とは左右の腎臓の上に隣接している臓器のことで、小さな臓器ですが身体の代謝をコントロールするホルモンを分泌している重要な臓器です。
副腎腫瘍は、多飲多尿や脱毛などホルモンの異常から精密検査を受けて発見される場合が多いとされています。
手術は副腎という臓器が大きな血管に隣接している関係から非常に難易度が高く、手術前にはCT検査を実施し、手術を行う場所と術式を決定する必要があります。

  • お腹がぽっこりしている
  • 水をたくさん飲んで、おしっこの量も多い
  • 皮膚が薄くなっている
多くの症状は副腎皮質ホルモンの分泌過剰によってあらわれます。お腹がポッコリして太ってきた、水をたくさん飲んでおしっこの量も多い、背中に左右対称に現れる脱毛などが特徴です。その他にも元気がない、皮膚が薄くて、表面が黒ずんでいるなどの症状もみられます。
血液検査によるホルモンの値の測定、レントゲン検査、超音波検査、CT検査などを総合して診断します。
外科的に摘出することで根治する可能性がある腫瘍です。手術前後は入院もしくは通院にて、血中ホルモン濃度をコントロールする必要があります。
写真は難易度の高い右副腎腺癌切除の手術を行っているところです。
 

甲状腺腫瘍

甲状腺腫瘍

喉にある甲状腺という臓器が腫瘍化したもので、腫瘍が大きくなると喉が腫れてきます。犬に多く、その約90%は悪性です。ビーグル、ゴールデンレトリーバーに発症しやすい腫瘍で、喉のしこりで来院されるケースが多いです。
腫瘍には浸潤型と非浸潤型があり、非浸潤型の場合は手術によって完全に切除できる可能性があります。大きくなるほど予後が悪いため、早期に発見し、切除することが治療の最良の方法です。

  • 犬、特にビーグル、ゴールデンレトリーバーである
  • 喉が大きく腫れてきた
  • ご飯が食べにくそう
  • 呼吸がしづらそう
喉にしこりが見つかったり、呼吸がしづらかったり、食事を飲み込みづらかったりすることにより気づきます。
病変部の針生検を行い細胞診断で診断します。またCT検査が有用な検査となります。
治療には外科的切除が有効です。甲状腺ホルモン検査を行い、ホルモン値が高い症例は手術前に抗甲状腺薬(チアマゾール)の内服を行います。
症例は甲状腺腫瘍のCT画像です。
この場合、非浸潤型で手術によって完全切除できる可能性が高いです。
 

肝臓腫瘍

肝臓腫瘍

肝臓腫瘍は二つに大別され、ひとつは肝臓が原発の腫瘍です。発生は比較的少ないですが、老犬などで多くみられます。もう一つは他の部位に発生した腫瘍の転移によって起こる転移性の腫瘍です。リンパ腫や血管肉腫などの悪性の腫瘍は血液やリンパを通って、肝臓に転移することがあります。
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、肝臓内の腫瘍が大きくならないと発見されにくい腫瘍です。
現在では、レントゲン・超音波検査などの他にCT検査に血管造影検査を組み合わせることで、術前に腫瘍の大きさや場所、血管走行などが確認できるようになり、診断精度が上がっています。さらにソノペットという超音波吸引装置を駆使し、以前は切除できなかったような難易度の高い肝臓腫瘍の切除も可能になりました。
 

  • なんとなく元気、食欲がない
  • 白目の部分や歯茎が黄色い
  • 吐いたり、下痢をすることが多い
初期ではほとんど症状がありませんが、なんとなく元気がない、食欲がないなどが見られることがあります。病気が進行すると吐いたり、下痢をしたり、黄疸がみられたりすることもあります。
転移性の腫瘍の場合は、原発の腫瘍の症状が認められる事があります。
血液検査、レントゲン検査、超音波検査、CT検査などを総合して診断していきます。手術前に、肝臓の針生検を行い細胞診検査を行う場合もあります。
根治するには外科的に摘出することが必要となりますが、腫瘍が肝臓の全域に及ぶ場合などは手術が適応でない場合があります。その場合は、内科的治療として抗癌剤や免疫療法を行います。
犬に最も多い肝細胞癌の写真です。

 

鼻腔内腫瘍

鼻腔内腫瘍

鼻の中にできる腫瘍で、発生した場合はほとんどが悪性で、進行するほど予後が悪くなります。症状として鼻汁やくしゃみ、鼻出血などが認められます。高齢でシェルティーなどの長頭種に発生しやすいとされています。
一般的に転移率は低く、局所の悪化により死亡するため、局所治療が重要となります。根治は難しい腫瘍ですが、
当院ではCT検査、超音波乳化吸引装置を駆使し、腫瘍の局所制御を行うことで、QOLの維持と生存期間の延長を目的とした治療を行っています。

  • 鼻水、鼻血が出たり、いびきやくしゃみ、呼吸がしづらいなどの症状がある
  • 比較的高齢
  • 長頭種である
鼻づまり、鼻血、いびき、くしゃみ、呼吸がしづらいなどの症状がみられます。ひどくなると、顔の形が変わったり、顔面麻痺になることもあります。
鼻の中に管を入れて吸引し、採取した細胞をもとに病理組織学的検査を行います。CT検査が有用で、腫瘍が鼻のどのくらい広がっているのかがわかります。
鼻腔内に悪性腫瘍が出来た場合、根治することは非常に難しいです。
超音波乳化吸引装置を用いて腫瘍細胞の減数を行い、抗癌剤を直接腫瘍に塗布します。それ以外に、抗癌剤や免疫療法などの内科的治療を行います。
超音波乳化吸引装置を用いた治療を行っている写真です。
 

腸腫瘍(小腸)

腸腫瘍(小腸)

腸の腫瘍は発生部位によって症状が異なる場合があります。例えば、嘔吐は十二指腸や上部消化管の腫瘍に関連していることが多く、体重減少や下痢は小腸の腫瘍でみられ、血便は直腸の腫瘍でよくおこります。外科手術(腸切除)や化学療法(リンパ腫など)を行い治療します。
腸のリンパ腫は悪性度の高いものが多いのですが、若齢のミニチュアダックスに見られる消化器型リンパ腫は他のリンパ腫と比較して抗がん剤によく反応し、長期生存をすることもあります。

  • 比較的高齢である
  • 吐いたり下痢をすることが多い
  • 痩せてきた
  • 血便が続く
上部消化管〜小腸にかけて腫瘍が出来た場合は嘔吐や下痢がみられます。食欲がなくなったり、体重が減少することもあります。直腸にできた場合は血便が多くみられます。
腫瘍によって腸が閉塞した場合、食べ物が腸を通過できなくなるため、嘔吐が激しくなり、ぐったりとします。
病変部の針生検をし、細胞診断を行います。また内視鏡検査により病変部の組織を採取して細胞診断を行うことでより正確な診断を下すことができます。CT検査や内視鏡検査にて外科的治療の適応や手術範囲を判断したりもします。
腫瘍の発生部位や種類によって治療法が変わります。外科的治療を行うものもあれば、抗癌剤や免疫療法などの内科的治療を行うものもあります。消化管が腫瘍によって閉塞してしまった場合や腫瘍が自潰した場合には緊急手術となる事もあります。リンパ腫の場合は抗癌剤での治療を行うことが多いです。
直腸腺癌の手術を行っている写真です。
消化管の端々吻合術という方法で、腫瘍が出来た部分の直腸を切除し、正常な部分で縫合しています。

直腸腫瘍

直腸腫瘍

ダックスフントに多いとされる直腸腫瘍は、治療への反応が乏しい持続的な血便を伴うものや便の変形を伴うものが多いとされています。増殖性の強い癌を発症するのが代表的なケースです。またこのタイプの癌はリンパ節、肝臓、肺に転移する可能性が高いです。
直腸腫瘍の場合、直腸の粘膜までの癌であれば、直腸粘膜引き抜き術(粘膜プルスルー)という手術法で治療することができます。

  • 排便がしづらく、血便や扁平な便が出ることもある
  • 治療しても血便が治らない
排便がしづらく何度も排便のポーズをして落ち着かないことが多く、排便時に血が混じったり、便が扁平になることがあります。
直腸の触診、血液検査、レントゲン検査、超音波検査、CT検査、内視鏡検査などを行い、総合的に診断していきます。内視鏡検査にて組織生検し、病理検査を行うことは有用な検査です。
根治と臨床症状の改善を目的として外科的治療を行います。発生した部位や病期の進行などによって手術方法が変わります。外科的治療に、抗癌剤や放射線療法などを組み合わせて行うこともあります。
手術で直腸粘膜を腫瘍ごと引き抜いている写真です。
 

胃腫瘍

胃腫瘍

胃の腫瘍は慢性的な嘔吐(吐血も含む)、体重減少、食欲不振、黒色便などを主訴に来院され発見されます。最終的には、内視鏡下で潰瘍病変、腫瘍を生検して診断を確定させます。胃の幽門部に発生した腫瘍では、胃の一部を切除後に十二指腸とバイパスされる手術が行われます。難易度の高い手術です。

  • 食べたものをそのまま吐く
  • 痩せてきた
  • 食欲がない
  • 便の色が黒い
食べたものをそのまま吐いてしまったり、慢性的な嘔吐が認められます。他に体重の減少や食欲不振がなどがあります。
血液検査、レントゲン検査、超音波検査、内視鏡検査、CT検査を総合して診断します。特に、内視鏡下で組織生検を行うことが直接的な診断に繋がります。
リンパ腫の場合、抗癌剤の治療を行います。それ以外の腫瘍では可能であれば外科的切除を行います。病理検査結果によっては、術後抗癌剤や免疫療法などの内科的治療を行います。
手術で摘出した胃腫瘍の写真です。
胃の幽門部(胃の出口)に発生した腫瘍では、胃の一部を切除した後、十二指腸とバイパスさせる手術を行います。難易度の高い手術なため、術者の豊富な経験が必要です。

膀胱腫瘍

膀胱腫瘍

膀胱腫瘍は尿路系の腫瘍の中で最も多く見られる腫瘍で、オスよりもメスに多く、高齢で発生します。犬では尿道の入口近くの膀胱三角という部分に発生しやすいとされています。
膀胱にできる腫瘍はそのほとんどが悪性です。症状が頻尿や血尿といった膀胱炎症状と同様のため、症状が続く場合は超音波検査をお勧めします。
治療は、外科手術、内科療法などがありますが、多くは緩和治療となります。
 

  • 膀胱炎、血尿が長く続く
  • 排尿に時間が掛かる
  • 痩せてきた
血尿をしたり、何度も排尿したりする様子が見られます。膀胱炎の症状と一致するため、膀胱炎がなかなか治らない場合などは検査が必要です。
尿を採取し、細胞診断を行います。超音波検査、造影レントゲン検査、CT検査も診断上で重要な検査手がかりとなります。
可能な場合は外科的切除を行います。適応とならない場合は抗癌剤、免疫療法などの内科的治療を行います。
写真は腫瘍切除、縫合後の膀胱の写真です。
腫瘍の発生した部位に応じて、手術方法を選択しています。

肺腫瘍

肺腫瘍

肺に出来る腫瘍は多くが悪性で、肺腺癌、気管支腺癌、扁平上皮癌などがあります。
症状は咳や血痰、食欲不振、体重減少などがありますが、大きくなるまで症状を出さない場合も多く、他の病気の検査時に発見される場合もあります。
文献では、腫瘍の大きさが100㎝3を超えると予後が悪いとされています。
早めにCTなどの精密検査を受け、手術適応であれば手術を行うことで完治の可能性が出てきます。

  • 慢性的に咳をする
  • 呼吸が荒い
  • 血痰をはく
初期は無症状であることが多いです。
通常は慢性的な咳、呼吸が荒い、呼吸困難、といった症状で来院されることが多いです。その他に食欲不振や体重の減少などが挙げられますが、どれも腫瘍に特異的な症状ではありません。
血痰検査、血液検査、レントゲン検査、CT検査などを用いて総合的に判断します。針生検が可能な場合は細胞診検査を行います。
治療には、第一に根治をめざした外科的治療を検討します。各種検査結果から手術が適応でない場合は、抗癌剤や免疫療法などの内科的治療を行います。
犬の大きな肺腺癌の写真です。
 

卵巣腫瘍

卵巣腫瘍

避妊手術をしていない中~高齢の犬、猫で発生します。症状が特に無く、健康診断で偶発的に見つかることもあります。脱毛を主訴として来院され、それが腫瘍によるホルモン失調が原因となっている場合もあります。
卵巣腫瘍の中には卵巣腺癌や顆粒膜細胞腫という大きくなりすぎて破裂してしまい、腹腔内で出血を伴うものもあります。また、腫瘍は腹腔内に転移しやすいといわれています。

  • 避妊手術をしていない
  • 高齢である
  • 発情の周期が不整である
主に異常発情や不規則な性周期が挙げられます。他にお腹が膨らんできた、元気がない、食欲がないなどの症状もみられます。ホルモンの過剰分泌によって、脱毛や貧血が見られることもあります。腫瘍が破裂するとお腹の中で出血し、ぐったりします。
腹部の触診、血液検査、ホルモン検査、レントゲン検査、超音波検査、CT検査などを総合して診断します。
手術で腫瘍摘出術を行うことで根治する可能性のある腫瘍です。
術後の病理検査結果によっては抗癌剤や免疫療法を行います。
大きな卵巣腫瘍を摘出している写真です。

骨腫瘍

骨腫瘍

骨の腫瘍でもっとも多い腫瘍は骨肉腫であり、大型犬の四肢にできることが多いです。
発見時に多くは顕微鏡レベルでの転移を起こしているといわれ、手術と抗癌剤での治療が推奨されます。
また関節周囲に発生した腫瘍が骨に浸潤するような症例でも断脚術などの手術が必要になる場合があります。
その他の部位に腫瘍が発生した場合、以前は手術自体ができない例がありましたが、最近では超音波吸引器を使用し、ほとんどの腫瘍を吸い取り、その後に抗癌剤を併用し、効果を出しています。
また、脊椎などに発生した腫瘍に関しては、手術が不適応の場合がほとんどですが、骨の吸収を阻害するビフォスフォネートという薬や抗癌剤を使用して治療しています。

  • 大型犬である
  • 比較的高齢である
  • 肢、特に前肢を痛がり腫れている
足に激しい痛みがあり、足を引きずったり、患部が腫れたりします。
病変部位の針生検やコア生検を行い診断します。レントゲン検査やCT検査といった画像診断はとても有効な検査です。
四肢に発生した骨肉腫の場合は転移性の強い悪性腫瘍なので、早めに外科的治療を行います。術後には抗癌剤や免疫療法などの内科的治療を行うことが多いです。
椎体に発生した骨腫瘍のCT画像です。
 

骨腫瘍

骨腫瘍

骨肉腫は原始骨細胞起源の悪性腫瘍です。
骨肉腫は局所浸潤性が強く、骨融解や骨産生、軟部組織の腫脹を起こし、病的骨折も起こす。
骨肉腫は四肢の骨および体幹の骨の両方に発生する。

  • 大型犬である
  • 比較的高齢である
  • 肢、特に前肢を痛がり腫れている
  • 元気・食欲がない
跛行、初期には非ステロイド系抗炎症薬に反応する。
走った時に急に跛行を示す。
硬く腫脹した足。
食欲不振や倦怠感。
身体検査 患肢に硬い腫脹を認める。
レントゲン検査 骨幹端骨の細かな海綿骨ディテールの融解による喪失・皮質骨の断絶、骨膜における新生骨(コッドマンの三角)、骨軸に垂直な柵状石灰化などの異常を認めることがある。
骨の生検 ジャムシディ針(骨生検針)を用いた生検、針を用いた細胞診などにより診断する。
手術 原発性腫瘍による痛みを軽減する最良の方法であると広く知られている。
放射線療法 疼痛に対する緩和的治療である。
化学療法 シスプラチンまたはカルボプラチンを単独もしくはドキソルビシンを併用することで生存期間が有意に延長することが示されている。
ビスホスホネート この薬剤は転移および原発性腫瘍による疼痛を緩和し、QOL(生活の質)を改善し、そして骨病変進行を遅延させることが示されている。
体幹の骨肉腫(肋骨)

肋骨に発生した骨肉腫の症例のCT画像です。
胸腔から腹腔にかけて非常に大きな腫瘍が認められます。

巨大な腫瘍だったため、左第6〜11肋骨を含めた広範囲切除を行いました。
また、横隔膜との癒着も認められました。
 

胸壁欠損部に対しては、組織親和性の高い人工材料を用いて、胸壁再建を行いました。術後の合併症も認められませんでした。

胸腺腫

胸腺腫

胸腺は、胸骨の裏側、心臓の頭側(前縦隔)にあり、Tリンパ球と呼ばれる白血球を作っている臓器です。幼少期においては体の免疫を担う重要な働きをしています。胸腺は、成長するに従って徐々に小さくなていき、成年期になると退化して脂肪組織となり、働きを終えます。
胸腺腫は高齢の犬、猫に起こる非常に稀な腫瘍です。心臓の頭側に腫瘤を形成し、通常増殖は緩徐であり、症状が出た時にはかなり大きくなっていることもあります。
犬猫いずれにおいても品種、性による好発性はしられていません。

  • 呼吸が苦しい。
  • 食べたものが飲み込みにくい。
  • 食べたものをすぐに吐く。
特徴的なものには、呼吸困難(咳、呼吸が荒いなど)、吐出(食べたものをそのまま吐く)などがあります。
身体検査(特に聴診)で呼吸の状態を確認します。
レントゲン検査では心臓の頭側に白い影となって描出されます。
その他、超音波検査、細胞診検査、CT検査などで病変内部の詳細や周囲血管の評価や転移の有無を確認します。
摘出可能な場合、外科手術が適応になります。場合により根治も可能です。摘出が困難な場合や不完全切除の場合、放射線治療が適応になります。補助的に化学療法(抗癌剤)を行うこともあります。
胸腺腫が悪性かどうかは切除可能かに依存しているため、疑う場合は早めに高度画像診断(CT検査など)を行うことが大切です。
全胸部に発生した非常に大きな胸腺腫の手術の写真です。
本症例は、腫瘍が非常に巨大で、周囲組織(肺、心臓、胸膜)に癒着し、一部、大静脈内にも浸潤していました。
周囲血管、神経などに注意しながら慎重に摘出しました。
前大静脈に浸潤した腫瘍も血管をクランプ(一時的に遮断)することで摘出しました。

この写真は血管内に浸潤した胸腺腫を摘出する前に前大静脈をクランプ(遮断)している様子です。
この後、血管を一時的に切開し血管内の腫瘍を摘出して閉鎖しました。

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